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「ゼロワン地域解消」は本当なのか?

昔、大都市に弁護士事務所が集中する、弁護士事務所の偏在問題がありました。

弁護士の絶対数が少ない上に、地方では依頼案件が少ないため、どうしても人口が多い都市部に弁護士事務所を開設するケースが多く、過疎地域や人口の少ない小さな都市では、弁護士がいないというのも珍しくありませんでした。

地方裁判所の支部があるにもかかわらず、そこに在住する弁護士がゼロもしくは一人の地域を「ゼロワン地域」と呼び、日弁連も解消に努めてきました。

近年は、弁護士数の増加やゼロワン地域解消対策が進み、「ゼロワン地域の解消が出来た」との声も上がっています。

ですが、実情をよくよく見てみると、数字や制度で解消したと見せかけられている分も多数あります。

良くあるのが、「弁護士数は地方裁判所管轄内に2人います」となっていても、実際には高齢の弁護士で名ばかりの弁護士事務所の看板を挙げているだけで、活動していないと言う事もあります。

もう一つが派遣型の弁護士事務所の形態が多いことです。

「弁護士過疎対策供給型A協力事務所」と言うのがそうで、新人弁護士を都市部の弁護士事務所で育成し数年経ったところで、ゼロワン地区の弁護士事務所に転勤させるというものです。

もちろん、ゼロワン地区解消には大いに役立っているのですが、経験が浅い弁護士が事務員もいない弁護士事務所を一人で切り盛りしていることも少なくなく、弁護士に重責がかかっているとも言えます。

また、数年たったところで別の弁護士とバトンタッチして都市部の弁護士事務所に戻ることが多く、本当の意味でのゼロワン地区への弁護士の定着とは少し違っているという面もあります。

過疎地域に定住しても生活できるほどの依頼があるかというのが、根本的な問題にあるため、長期にわたり解決できるかはまだまだ不透明といえます。