月別一覧:2017年08月

行列のできる弁護士事務所は本当に繁盛してる?

飲食店などでよく繁盛している店を、「行列のできるラーメン店」「行列のできるスイーツ店」など、「行列のできる○○」と言う風に表現したりします。

テレビ番組でもそれにあやかって、「行列のできる法律相談所」と言うものがありますが、実際に「行列のできる弁護士事務所」があったらどうでしょうか?

繁盛していてうらやましいと思う弁護士事務所もあるかもしれませんが、経営的な面からみるとマイナスだと言えます。

ラーメンのように画一的かつ安価で、食すことによりすぐに消費され、翌日にも同じものが大量提供されるというのであれば、「行列のできる店」と言うのは経営戦略的には有効であると思えます。

しかし弁護士事務所は、悩みを抱えた人が悩みの解決のために訪れ、しかも画一的な対応では済まず、しかも一般人からすれば弁護士費用は決して安いものではありません。

弁護士事務所を飲食店で例えれば、「1日に2組の予約客しか受け付けておらず、しかも客の好みの応じた食事を丁寧に提供する最高級店」と言ったところでしょうか?

弁護士事務所はそもそも論で、「予約客がいっぱいになって行列を作るようでは、弁護士事務所の処理能力オーバーをしている」と言うことになります。

弁護士事務所によっては面談の予約がいっぱいになっていて、初回の方は3カ月待ちというところもありますが、よっぽどのことがない限り「弁護士事務所に行く気持ち」は冷めてしまいます。

弁護士に相談する時点で「すぐに解決をしてもらえないかな?」と言う期待を抱いて連絡をしてきているのに、「3か月後」と言われてしまうと、期待外れと感じたり、その間に別のところを見つけようと思ったり、状況が変わって相談すらする必要がなくなったりする危険性があるからです。

そうなると、カレンダーの予定はいっぱいだが、実際には直前にキャンセルとなったり、ひどい場合には当日に連絡もなく来ないということがあったりと、弁護士事務所からすれば無駄が生じてしまいます。

繁盛するのは喜ばしいことですが、繁盛しすぎて客を待たせすぎるのも考えものなのかもしれません。

弁護士事務所の自動車問題

一昔前は「高級国産車や外国車に乗っている」という、弁護士のイメージが強かったです。

現在も顧客によっては「弁護士の先生は、それなりの自動車に乗っていてもらわないと、相手になめられてしまう」と考える人もいます。

2016年度の警察庁の統計では免許保有者は8215万人で、日本の人口は1億2千万人ほどなので、16歳未満を含めて約68%は何らかの二輪もしくは自動車免許を取得している計算になります。

しかし、ある自動車保険会社が行ったアンケートでは、2017年の新成人の自動車免許所有率は56%で、若年層の自動車離れどころか、自動車免許取得離れが見えてきます。

特に都心部では交通網が発達しており、駐車場代も高額なため、自動車自体がいらないという人も多いため、弁護士でも免許証を持っていない人が増えてくるかとは思います。

ですが、弁護士事務所としてみると、自動車がいらないかと言うとそうでもありません。

地方の弁護士事務所であれば、裁判所や法務局が自動車でなければいけないようなところにあったり、不動産を専門に取り扱っている弁護士事務所であればフィールドワークが中心となるため、自動車は不可欠となってくるでしょう。

そこで頭を悩ませてくるのが、自動車の購入・維持費です。

これらは弁護士事務所の経費として落とすことはできますが、多額になりとやはり痛い出費となるため、出来るだけ少なくしたいというのが現状かと思います。

そうなるとレンタカーが筆頭に上がってくると思いますが、「レンタカーだと金額が高い」「『わ』ナンバーだとレンタカーとわかってカッコ悪い」と躊躇されるかもしれません。

しかしながら、マンスリーや3カ月などの長期のレンタルであれば、購入して保険代なども払うことを考えると、トータルして安いこともあります。

また、リースでの借入であれば、ナンバーは『わ』ナンバーにならず、リース会社によっては希望のナンバーを用意してくれます。

もう一つの利点が、常に新車に乗り続けることが可能な点です。

契約更新時に、車種を変えることも可能ですし、車種は同じのまま最新型に変えることも可能なため、自動車にこだわりのある弁護士事務所経営者であれば、あえてレンタカーでもいいかもしれません。

レンタルオフィスは弁護士事務所の主流となるのか?

首都圏を中心に、レンタルオフィスで弁護士事務所を開所する弁護士が増えてきています。

レンタルオフィスは通常の貸事務所と違い、机やいすなど最小限の事務機器が部屋に付帯されており、敷金礼金なども貸事務所よりも抑えられるため、初期費用が安く済むという利点があります。

また、虎の門や銀座などネームバリューのある土地に、比較的安価に弁護士事務所が構えられるという長所があるため、場所によっては空室待ちと言ったレンタルオフィスもあります。

コピー機など大型事務機は共用スペースにあり、打合せ室も別途時間チャージで借りられるため、ミニマムな弁護士事務所を考えている弁護士には、好評と言えます。

しかし、コンシェルジュや秘書がついているようなレンタルオフィスは、首都圏や大阪などの大都市圏に集中しており、地方の県庁所在地では皆無というところもあります。

また、レンタルオフィスは「机だけでスペースがいっぱいいっぱい」と狭いところも多く、日々増え続ける書類の保管に対応できなくなることもあります。

他にも、パソコンのシステムを導入する際に、「サーバーの電源が確保できない」と言うったシステム屋泣かせのところもあり、永続的に弁護士事務所を構えるには向かないと言えます。

そのため、「3~5年ほどはレンタルオフィスで弁護士事務所を経営して、仕事が順調に軌道に乗れば貸事務所に移る」という形が多いそうです。

「それならば、数年イソ弁で開業資金を貯めてから、独立すればいいのに」と思われる弁護士も多いと思いますが、若い弁護士ほど先輩後輩と言ったしがらみを嫌い、独立志向が高いこともあり、このようなレンタルオフィスでの独立開業が増えていくのではないかと思われます。